租税条約の適用手続きを甘く見ないこと
租税条約は私の専門分野です。租税条約には、平成16年に改正され、現在有効に適用されている日米租税条約が代表ですが、この平成16年の全面改訂の際に、盛り込まれたのが「特典条項」です。
その後、英、仏など数か国が、租税条約の改定にあたり、同様の「特典条項」を取り入れました。
この特典条項とは何か?といえば、これらの租税条約は、配当、利子、使用料などの投資所得を従前よりも減税する、免税する内容を採用しています。このため、有利なこうした租税条約を、条約漁りする輩が出て来る可能性がある。
このため、租税条約による軽減や免除の適用は、条約の特典である、と整理して、その特典を利用できる者は、単に条約当事国の居住者であるだけではだめで、その所得が導管体などの仕組みを通じて、当事国以外に流出していくような仕組みである場合には、租税条約の特典を認めない、ということです。
そうした情報まで含めて、「租税条約に関する届出書」「特典条項に関する付表」を記載して、税務署に提出する必要があります。
こうした租税条約の適用手続きに関しては、エキスパートである税理士はほとんどおりません。租税条約に関する届出書の提出を行うような業種業態の皆さんにとって、いざ、税務調査でいろんなことを指摘されるような税務リスクをを防ぐために、ぜひ、専門税理士を顧問に付けていただきたいと思います。