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国外扶養親族の扶養控除の改正について(私見)

  • 久川秀則
  • 2016年11月2日
  • 読了時間: 3分

今年から税制改正で適用される、年末調整関係の改正がある。

「国外に居住する親族に係る扶養控除等の適用」についての改正だ。

日本に住む外国人、外国籍の者は、母国に扶養親族がいる場合がある。

日本の所得税のしくみでは、そうした海外に居住している扶養親族についても、

親族の範囲に入る場合には、扶養親族に入れることは可能だ。

6親等内の血族、3親等内の姻族が所得税の親族の定義。

あとは、日本国内でもそうなのだが、仕送りなどでその親族と生計を一つにしていることが必要。

もちろん、合計所得金額が38万円を超えている人は対象外。

海外に居住する扶養親族を扶養控除するための要件が厳格に定められた。

それぞれの扶養親族に対して、

親族関係書類

送金関係書類

の提出が義務付けられた。

親族関係書類とは、日本で言えば、戸籍に相当する書類で、控除対象となる親族かどうかを証明するもの。

送金関係書類は、海外送金やクレジットカード資料などで、仕送り等をしていることを証明する書類。

これらの書類は、一人ひとりについて、別途必要である。

銀行送金の場合には、一人ひとりが、現地国に保有する、それぞれの名義の口座に送金する必要があり、

特定の一人に送金した資料で、その特定の一人以外の扶養親族は控除できない。

非常に厳格な要件である。

この背景は、私は東京国税局管内では聞いたことが無いが、

在日韓国人の方々、韓国本国に多数の扶養親族がいるとして、控除をしていた事例があり、

そうした異常な不正控除が見咎められ、こうした厳格な制度への改正となったとされる。

いくら送金したら生計を一つにするということになるのかは、難しい問題で、当局からは示されていない。

私の私見では、国内の遠隔扶養の場合に、1人につき、38万円を所得控除するのであるから、

毎月3万円では、年間36万円となり、38万円を控除することに不合理が出る。

最低、月額4万円、月額5万円が安全圏であろう、というのが私の意見。

では、海外在住の扶養親族については、どうか?

例えばアジア地域の多くは、物価が日本より安く、日本円での送金額は少なくても、

現地国では十分に生活できたりする場合がある。

例えば、月2万円送金すれば、1人の生活が成り立つとして、年間24万円送金して、38万円を所得控除することになる。

これは合理的かどうか、といえば、やはり不合理だ。

日本より物価が高い国であっても、38万円が所得控除額なのだ。

そこは、違う物差しをもってきてもきりがない。

やはり、一人について4万円以上の送金がなければ、扶養控除には不合理と思われる。

これはあくまでも私見。

のちのち税務署から指摘されて、追徴されるリスクを考えれば、保守的な判断も妥当である。

そもそも、出稼ぎ的に日本に来て、本国に住む家族まで、扶養控除してあげるべきか、という根源的な疑問もある。

出稼ぎ的な外国人ばかりでもないだろうが。

厳格で保守的な立場からスタートすることが筋であろうと思う。(了)

 
 
 

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