租税回避の対策改正
本日の日経新聞によれば、企業や個人が税を逃れた所得への課税が強化。 タックスヘイブン税制の持ち株割合を50%基準を改める。 その際、実質的な所有者かどうか、の判断基準を整備して、実質所有者に課税する。 タックスヘイブン税制の対象となる、現地税率20%未満の基準も改める。 富裕層の相続税のがれ対策として、海外居住期間の5年超を改め、10年超に伸ばす。 これらが実際に改正、されるであろうと考えられるが、効果は絶大でありましょう。 もとより、税理士として、日本で納税せずに海外に所得を逃がすことに賛成はしていませんので、 日本で税を納税し、日本の国、日本の経済や景気に貢献して欲しい、そんな風に思います。 税理士にも情報開示義務も整備されますので。(了)
配偶者控除:税と社会保障の一体改革は可能か?
税と社会保障の一体改革といいますが、これはなかなか難しいんですよね。 財務省と厚労省、どちらも歴史と力のある省庁で、大臣もいるわけです。官僚もいる。 それぞれが違う原理で動いている。 末端の職員については、財務省のほうが国税庁を擁している分、格段に上だが、そんなことで決まるものでもなく。 配偶者控除の改正だって、世の中の働きたい女性のネックになっているのは、 何も、配偶者控除のパート収入の上限、103万円だけではない。 夫の社会保険での被保険者に入っていられるのは130万円まで。 所得税法の配偶者控除の話ばかり言われて、社会保険の方は今ひとつ批判もない。 本来は、一体で改正せよ、そういう声があっていい。 しかし、一体改革というような掛け声で、一体改正とはおそらくならない。 私は、厚労省は、批判されていないので、知らん顔だと思っている。 財務省が、槍玉に上がっている分、単独で配偶者控除の限度所得を引き上げる、ということしか起こらないだろうと踏む。 最後は政治決断だが、社保を考慮して、家計の実入りで考える場合に、複雑な計算が必要になることは 引き続き
交通事故か、予見できるものか?
私の専門分野である源泉国際分野。法人税などとは異なる特徴があります。 税法としての特徴ではなく、税務行政としての特徴というべきでしょう。 法律も条約も改正されてもいないのに、 突如、執行で厳しくなる場合がある。 納税者や顧問税理士(詳しくない場合が多いですが)もびっくりするんですよね。 しかし、現実に私は何度も見てきました。 こうしたことは、予測不可能な交通事故なのでしょうか? 実は違うのです。 よくよくしっかり判断しておけば、税務リスクが予見できる場合があります。 そういう予見のもとに、保守的な取扱いをしておく。 もちろん、そういう対応に異論もあるでしょうが、 本税を追徴され、ペナルティを課されることを考えれば、どちらが関与先企業にとってよいことかは どなたでもわかるとは思います。 ぜひ、専門の税理士の知見をご活用下さい。(了)
報酬や料金の源泉所得税
国内の居住者に支払う報酬や料金、こうした支払いには、支払者における源泉徴収義務が課せられています。 当然ながら、源泉徴収を怠っていた場合には、税務調査で本税徴収、不納付加算税の付加、延滞税を求められる場合があります。 報酬や料金は、いわゆる、限定列挙方式と呼ばれ、列挙されたものだけが報酬や料金に該当する、と言われています。 しかし、現実には、解釈によって源泉徴収の対象とするものも存在しており、 法令や通達を、抑制的に解釈しすぎていると、税務当局から異なる判断をされる場合がありますので、注意が必要です。 私は、税務署から異なる判断をされて追徴されることは望ましくないので、保守的に判断をすることを基本スタンスとしています。 個別問題は今回は触れませんが、その役務提供などの内容を本質的に見たときに、法令や通達の定義とどう整理べきなのか、そういうあたりを考えることにしています。 もちろん、法令通達を抑制的に解釈する立場も、学説も実務もあるとは思いますが、税務署から異なる判断をされることは、納税者側からすれば望ましくないわけですから、そのあたりを、しっかり
大所高所は税の世界でも?
現在の改定日米租税条約は平成16年から適用されています。 実は、この改定において、私が記憶している大きな問題がありました。 所得区分は、申し上げると問題になるので、伏せさせていただきます。 パッシブ所得、と言ったり、投資所得、と言ったりしますが、配当、利子、使用料、こうしたものが、該当します。 こうした所得に、他の国の租税条約に先駆けて、免税や軽減を拡大したのが、現在の日米租税条約。 この改定された日米租税条約、適用開始時期が国内の批准手続きにより、決まってくるのですが、 私が直接担当したわけではありませんが、ある外資系企業が、契約を変えて、支払時期を遅延させ、 本来であれば、旧条約の取扱で日本で課税であったところを、新条約の適用壊死以後だとコントロールして、 日本で課税される税を軽減した、という事案です。 私は結論は存じませんが、やはり、こうしたことはやりすぎだと思います。 最終的に訴訟まで行って、勝ったとしても、争訟を呼び込んでしまうものです。 税の世界で、外資などは手柄を立ててボーナスをもらいたい、そういうインセンティブがあるように思います
非居住者は外国人?
非居住者と言いますと、外国人というイメージだと思いますが、 1年以上の期間に渡り、仕事などで海外に出国する日本人も、税法上の非居住者となります。 ですので、海外出国中に、日本の親会社から支払われる、給与や手当、そうしたものに関しては、 税務署は非常に厳格にチェックします。 もちろん、非居住者は、国内源泉所得だけしか日本での納税義務は無いわけですが、 国内から支払われるわけですから、国内源泉所得になる可能性があるだろう、と想定するわけですね。 内国法人の役員報酬で一定のもの、留守宅の借り上げ家賃、 いろいろと日本で課税される非居住者所得はあります。 注意したいですね。(了)
租税条約に関する届出書、正しく書けてますか
租税条約に関する届出書、特典条項に関する付表、こうした届出書類を比較的多数提出しなければならない業種があります。 例えばアーチストの招聘業者、 出版業 放送業、 音楽出版、 デザイン、 医薬品、 広告代理店、 などなど、です。 ところで、租税条約に関する届出書などについては、その根拠は租税条約と我が国の実特法にあります。 租税条約を紐解くことは簡単ではないのに、届出書は、サラサラっと書いて提出したり。 ある日税務署からの税務調査で、記載不備や免税の否認、そういうことが起こります。 ぜひ、日々起こる、こうした業種であれば、届出書を毎回チェックしてもらうことが望ましい。 そういうことを任せられる税理士はまず少ない。 届出書をたくさん提出する企業にとって、源泉国際分野に強い税理士がいることは、 税務調査を見据えても、きっとメリットが有ると思います。 ぜひ、当事務所におまかせくださいませ。(了)
顧問契約のメリット
租税条約による軽減や免除、平成16年の日米租税条約の全文改正の際に導入された、いわゆる特典条項。 このあたりは、セミナーでも説明することが一苦労なのですが、 大企業では、株主が外国人等の場合に、大ボール何箱かの届出書、特典条項の付表を提出することでしょう。 この免税手続きの周辺には、税務調査の着目点も多数あり、それは今も昔も変わりません。 軽減免除を適用している所得が、実際に手続きや要件を充足しているか、を検討され、 またその取引の所管部門の他の取引も検討される、ということになります。 あと、租税特別措置法による金融関係の非課税措置なども、近年検討されています。 いざ税務調査、質問や資料要求があって初めて、「え?」となることも多いと思いますが、 専門家である税理士を顧問契約でつけていれば、対処方法、誤解を受けない答弁の方法など アドバイスを受けられます。 税務室、経理部、人事部で月額2万ずつ予算をつければ、アルバイト1人以下の予算で、顧問を引き受けてもらうことは叶です。 その都度必要になったとき、に、税理士を探して、相見積を取って、本当に信頼でき
配偶者控除の税制改正論議が再開・・・
配偶者控除を夫婦控除にすると伝えられた改正検討は、見送られたようですが、 再び、改正の動きが伝えられていますね。 現時点であまり確たるコメントをすることも良くないと思いますので、試論を書かせていただきます。 女性の活躍という観点では、いわゆる103万円の壁、をどうするか、ということになるのですが、 前提としてもちろん専業主婦ということを尊重しつつ、ということでもありますが、 103万円を引き上げてあげることが、働く既婚女性にとって嬉しい場合がある、ということですから、 いま出てきている150万円という引き上げは、議論との整合性はあるだろうと思います。 問題は、社会保険などとの兼ね合いの中、手取りが左右されてしまう複雑さ。 これは大企業で働く場合とそれ以外とで社会保険の適用が変わり、またややこしくなっていますが、 社会保険の取扱いの違いを、税制で受け止めて、手取りがマイナスにならないような調整は容易でないでしょう。 単純に、103万円を150万円まで一気に引き上げる、というようなことしかできないのではないかと思います。 その中で、150万円までは、
すべての税に詳しい神様のような税理士はいない
私も、税理士開業後、上場企業の源泉所得税の税務調査のサポートをしたことがあります。 大企業は、税務室という税務調査や税務リスクをしっかりマネージする専門家部局があるのですが、 それでもなお、「こんな取引あったのか」と、税務調査官から指摘され、問題提起されてはじめて、 認識するようなケースが多いのです。 つまり、税務リスクがあるような取引をしていて、それが、事前に税務リスクを検討していない、ということ。 とても残念なことです。 私は思うのですが、結局、税理士を活用できていないのではないかと思うのです。 源泉国際課税分野などは、一般的な税理士さんは詳しくない。 やはり、周期的に深度のある税務調査をされるのですから、その分野に通じた専門家の税理士を、 予め顧問税理士に迎えて、毎月来社してもらい、なるだけ税理士に聞く体制にすればいい。 今月は経理部、今月は人事部、今月は税務室、やはり、顧問税理士とフェイスで会うことで、 より多く、相談のテーブルに上がることになります。 税務室と経理部と人事部で、月額2万円ずつの予算をつければ、来社してもらえる顧問契約がで